ここは音威子府から程近い通称ぶっかけストレート。冬季閉鎖の踏切から直線を狙う小場所である。カーブのように動きがあるカットを撮れるわけでもなく、ウイングを閉じられる可能性が少ない見下ろしアングルから撮るのでもなく、何の変哲もないただの直線なのだが、正月にここに来て以来、私にとってはお気に入りのポイントとなった。何がそんなにいいのかというと、この場所は高確率で派手に雪をぶっかけられるのである。今季通算6回ここを訪れて、雪があろうがなかろうがすべてウイングは全開。とにかくこれはありがたい。ウイングの開閉に一喜一憂する必要がないぐらい、この場所ではラッセルがカッ飛んできて雪の塊をぶっかけられることが多かったのである。 機関士さんや保線員の方々からは我々撮り鉄が見えているハズなのだが、ウイングを閉じる気配など微塵も感じさせず機関車はストレートを爆進してくる。機関士さんが気合いを入れてくれているのだから、我々も狙いの位置でシャッターを切るまでは絶対に引くわけにはいかない。まるで根性試しのチキンレースである。もちろん我々もぶっかけ上等、雪まみれになるのを覚悟のうえ。例えるなら遊園地のアトラクション、TDLのスプラッシュマウンテンみたいなもんである。シャッターを全開で切りながらラッセルヘッドがファインダーからハミ出た瞬間、即背中を向けて吹っ飛んでくる雪の塊を回避する。カメラにはあらかじめビニール袋を掛けておき、背中を向けるのと同時にパン棒をひねってレンズの前玉に雪が飛び込んでくるのを避ける。雪なんか大したことはないだろうと思っているのなら甘い甘い。直撃すると眼鏡が吹っ飛ぶぐらいの勢いでけっこう痛いし、ゲバやカメラにこびり付いた雪はカチカチになってなかなか取れないのである。服にフードが着いていれば、被っているのが好ましい。フードがなければ髪の毛も雪まみれである。 我々はぶっかけられればぶっかけられるほど満足度が高まるのだが、闇雲に線路に近づいているわけではない。建築限界の外側、踏切や標識の十分外側に離れてポジション取りしているのは言うまでもない。 この日は朝からまさかの快晴で、降雪も少なくシーズン中盤の高い雪壁に遮られてぶっかけ度も低かったのだが、晴れカットが撮れたのだからこれ以上贅沢は言うまい。来シーズンも再びDE15が撮れることを願いたい。 |