冬の関東は晴れる。最近、これは間違った定説なのではないかと思うようになった。たしかに北関東の平野部は晴れる。冬型の気圧配置が強まれば、茨城でも栃木でも群馬でも、天気予報など調べなくてもバリ晴れは保証されている。しかし、どうやらこの説は南関東には当てはまらないのではないだろうか?昨年末から年始にかけて、房総半島の中央に位置するいすみ鉄道には苦渋を飲まされ続けてきた。自宅を出るときは快晴であるものの、船橋あたりまでやってくると南の空にドス黒いクソ雲の帯が横たわっているのが見える。頭の中では「引き返せ!」と心の声がするものの、いつもいつも強行策が裏目に出て、すでに3度も撃沈をくらっている。考えてみると、富士ぶさ末期の伊豆地方でも冬型の気圧配置では勝率が低かった。なぜなのだろうか? このことを相棒・千ちゃんに話してみると、彼も同じ考えを持っていたそうである。どうやら、冬型が強まると、長野や新潟でせき止められていた北西の風が山梨を迂回して再び南関東上空で合流する際に、東京湾から大量の水蒸気を補給してクソ雲が発達するらしい。なるほど、房総も伊豆も晴れないのはうなずける。それにしても、こんな近場で連敗続きなのはストレスがたまる。楽勝ムードが一転して鬼門である。そろそろ一発極めさせてもらえないものだろうか? 建国記念日の週末、撮り鉄の大先輩、関西−D.W氏がご友人とともに所用で上京するという。天気予報によると関東は冬型が緩んで快晴になるらしい。関西−D.W氏のエスコートも兼ねて、千ちゃんとともに因縁のいすみ鉄道に出撃である。午前中は各自好みの場所に散開し、ヘッドマークが外された大多喜側が順光となる午後になって上総中川の築堤に集合した。今日は待ちに待ったベストコンディションである。撃沈が続いた冬休みに施したガーデニングによって、築堤はキハ1両分キレイさっぱりマルガリータにしてある。たまりにたまった鬱憤を晴らすべく、バケぺんをセットして列車を待つ。午後3時過ぎ、近くの踏切が鳴る。来た。単コロの気動車といえど、大多喜に向かって築堤を駆け抜けるそのスピードは侮れない。バケぺんの一発切りは集中力が必要である。ノーファインダーでひたすらピントを合わせた一点を見つめ続け、車両の先頭がそのポイントに差し掛かった瞬間、シャッターを切る。手応えはあった。 1週間後、現像からあがったスリーブにはベタ順の光線に照らされたキハ52が結像されていたのだった。関西−D.Wさま、お疲れさまでした! |