前回の表紙に続いてまた雨の写真である。上りさくらが運転されたその夜、今度は夜行で鹿児島行きの富士が運転された。天気予報は下り坂。しかも大雨になると言っている。インチキ天気予報などこれっぽっちも信用していない私だが、衛星画像を確認すると明らかに大雨を降らせそうなクソ雲が西から近づいている。これは間違いなく降る。悪天候を敏感に察知したのか、沈没船から逃げ出す脱鼠のごとく日曜限りで関西−D.W氏と千ちゃんは撤収。今ごろ頃山陽道を東に向かっているハズである。さささ氏は大分でバルブをするという。私は明日熊本から帰京である。どちらにしろ今晩は九州に残留しなければならない。数年前から追い掛け回した九州ブルトレの最期の花道である。雨とはいえ敵前逃亡は許されない。覚悟を決めて九州道を南下、都城を目指したのだった。 九州道〜宮崎道をチンタラ流して数時間後には都城に到着。都城駅前で風呂に入って道の駅たからべまで移動する。すでに鹿児島県に入っている。昨年春のREVIVAL富士以来の鹿児島である。もうしばらく鹿児島県へ来ることもあるまい。 翌朝、レンタカーの薄い鉄板を叩く雨音に起こされた。やはり土砂降りである。光線の向きには悩まされなくてよいが、雨の中の撮影はツライ。とりあえず日豊本線と併走する県道を走りながらポイントを探す。都城以南は一応日の出時間後の通過となる。眩しい朝日はまったく期待できないが、何とか撮れるぐらいの明るさにはなるハズである。数ヶ所めぼしいポイントを回って一番雨に濡れなそうな場所にゲバを張った。しばらくすると滲んだヘッドライトが近付いてきた。マークは丸富士である。国鉄末期、全国に先駆けてヘッドマークが復活した九州でたった半年間だけ取り付けられた幻のヘッドマークである。晴れで撮りたかった・・・。とにかく残念である・・・。 さあ、撤収である。こんなクソ雨の中、さっさと家に帰りたい。東九州道の隼人西ICを目指して出発するが、余裕あるダイヤのためか、普通に走ると列車を追い抜いてしまった。もう一回撮れそうである。しばらく線路際を流していると道路橋の上に鉄の群れを発見した。撮れるのか?その群れの中に入ってみると・・・ん?見覚えのある帽子がすぐ横にある。俯瞰の鬼あきんど監督である。約束などしなくても身内の考えることはみな同じなのである。普段は目も眩むような断崖絶壁から下界を見下ろしている監督もさすがにこの雨では地べたから撮っている。数分後、私のカメラには撮らないよりはマシ程度のショッパイ画像が記録されたのだった。 今度こそホントに撤収である。雨の九州道を北上して一路熊本空港を目指す。左車線をチンタラ走ること数時間、何事もなく熊本空港に到着してレンタカーを返却。カウンターで搭乗手続きを済ませて毎度毎度ウンザリのクサレ手荷物検査官とのバトルをクリアした。搭乗ゲート前のベンチに座って出発を待っていると先程別れたあきんど監督がやってきた。何と!同じ便で席まで隣だったのである。偶然もここまでくると必然である。我々の身内は撤収ルートと座席の好みまで同じだということを思い知らされた九州遠征だった。 |