前年の羽越、奥羽本線に続いて東北本線からも普通客車列車の終焉が迫っていた。数日後のダイヤ改正で701系が東北本線にも進出。レッドトレインは南限である一ノ関から撤退し、さらに北へ封じ込められてしまうことになった。磐越西線では非電化区間でかろうじて絶滅を免れたものの、赤べこED75に牽かれる赤い客レを撮影するにはますます遠くへ出撃しなければならなくなってしまったのである。 ダイヤ改正直前の最後の好天と思われたこの日、私は北上川を見渡す田んぼの畦道にいた。徹夜で走った東北道を平泉前沢ICで降り、5分も走れば通い慣れた築堤である。日の出直後の上り列車をシルエットで狙う。逆光側にゲバを張り、露出は出た目からマイナス半段にセット。ベルビアなら狙い通りに極まるハズ。1990年代、PKRと共に撮り鉄の人気を二分したRVPは期待を裏切らない。かじかむ右手でシャッターを押す。数日後、現像から上がったスリーブにはオレンジ色に染まった朝焼けとレッドトレインが写し出されていたのだった。 |