昨年12月以来、今年初のモータースポーツ撮影である。GW初日の土曜日、仮の復活を果たした臨時日本海や房総非電化の鉄ネタに後ろ髪を惹かれつつも、ツインリンクもてぎで開催されるスーパー耐久第2戦へ出撃してきた。昨年からこのシリーズには国際規定によるGT3マシンが出場可能となった。SUPER-GTのGT300クラスに出場しているマシンと同じド派手な外観のメルセデスベンツSLSやBMW Z4、そして日産GT-Rが走行するのである。さらに今回はスペシャルイベントのリバイバルネタがある。'90年代最強のグループCカー日産R92CPのデモランである。富士や鈴鹿以外では走ることがない伝説のマシンがもてぎを走るのである。貴重な鉄ネタと天秤にかけても、これには出撃しないわけにはいかない。 モータースポーツ撮影はずいぶん久しぶりだったため、出撃準備をしている時から何か装備が足りない気がしていたのだが、常磐道を走行中にふと気がついた。コンタクトレンズを忘れたのである。やはり、トラブル発生である。 普段、私は眼鏡をかけている。矯正視力は1.5。十分よく見えて、日常生活では何の問題もないのだが、モータースポーツ撮影とプロレス観戦に行くときだけはコンタクトレンズを装着する。眼鏡とコンタクトレンズとでは流し撮りの精度がまったく違うのである。鉄の場合、列車が来る前にゲバで構図を固定して、シャッターを切る瞬間はピントを合わせた一点だけを凝視しておけばよい。写真の出来は事前に決まっているのでファインダー全体を見る必要はなく、眼鏡でも何の問題もない。一方、モータースポーツ撮影ではレンズを振ってマシンを追いながらシャッターを切る。撮りたい構図は決まっているものの、マシンやドライバーによって異なる走行ラインをトレースしながらファインダー全体を視野に入れ、止めたいポイント一点に集中してシャッターを切るのである。そのためには眼をアイピースに密着させて眉間でカメラを押さえつける必要があるのだが、眼鏡ではファインダーとの間に隙間ができてしまうのである。今さら取りに帰っている時間はない。集中して、何とか眼鏡で仕留めるしかない。 17時、翌日にデモランを行うリバイバルネタの走行チェックが始まる。このためにわざわざやって来たと言っても過言ではない。しかし、不思議なことに、モータースポーツファンにとってリバイバルネタはあまり興味がないものらしい。鉄のリバイバルネタといったら、有名撮影地には立錐の余地がないぐらいレンズの砲列が並ぶのが常だが、予選走行の時間にはカメラマンが山ほどいたヘアピンも今は私だけ。みんな、さっさと帰ってしまったのである。翌日のデモラン本番でも、私を含めてたったの4人しかその場にはいなかった。まあ、他人の興味の対象などどうでもいいのだが、これは意外だった。 場内放送が走行開始を報せる。来る!毎度毎度のことながら、チャンスは多くて3〜4周だろう。気合を入れて狙う。1周目、ミスった。2周目。オッシャーーーッ!!!極まった! 翌日曜日の決勝は一旦自宅に戻ってから再出撃。あらかじめコンタクトレンズを装着して準備万端で常磐道を北上したのだが、無情にも決勝レースのスタート直前から薄雲が広がり、4時間後のゴールまで太陽がまともに顔をのぞかせることはなかったのだった。残念・・・。また次回! |